パワーポイントの使い方


  1. パワーポイントを使ったプレゼンテーション
  2. スライドのコンテンツ
  3. 基本手順
    1. *** ストーリーを作る ***
    2. *** 内容を膨らませる ***
    3. *** スライドの書式を変更する ***
      1. === ページ番号を表示 ===
      2. === 背景デザインの選択 ===
      3. === フォントサイズ、その他の変更 ===
    4. *** 図表を貼り込む ***
    5. *** 数式を入力する ***
    6. *** 参考文献 ***
    7. *** 口述原稿(スクリプト)を入力する ***
    8. *** アニメーションの使い方 ***
  4. 発表の仕方
  5. スライドの操作
  6. 配付資料の作成


パワーポイントを使ったプレゼンテーション

パワーポイントはもともと、アメリカでビジネスプレゼンテーション用の道具として作られました。 短時間のトークで相手を引きつけ、説得することが必要なビジネスの世界ではビジュアルに訴えることが効果的で、パワーポイントのような道具が必須のアイテ ムになっています。

研究発表の場でも、いまや、プロジェクターを使ったプレゼンが標準になっており、パワーポイントがそのためのツールとして広く利用されています。聞 き手を引きつけ、説得力のあるプレゼンが必要、という点ではビジネスプレゼンテーションと変わるところはありませんが、内容をきちんと理解させた上で、そ の内容について議論をするのが主たる目的となる研究のプレゼンテーションでは、ビジネス目的のプレゼン テーションがそのまま有効ということにはなりません。そこで、注意すべき事柄をまとめてお きますので、参考にしてください。

スライドのコンテンツ

ゼミの発表という場面を想定します。

プレゼンの目的は、聴衆に自分の話したい内容を理解させ、聴衆からその発表内容に関してのアドバイスやヒントをもらうことです。一方 的にしゃべりまくって聴衆を感心させる(呆れさせる?)のが目的ではありません。

プレゼンテーションの聴衆は、これから話す内容についてあなたの知識量には及ばない場合が多いと考えられます。

あなたが思うほど物分りはよくありません。また、たとえ対等なディスカッションが出来るようなレベルの相手に話す場合でも、あなたの発表内容につい ては初めて聞かされる内容かもしれません。

そのような聴衆を相手にして、どのように話を組み立てればよいかを考えるには、自分が聴衆になったつもりで、短時間で理解できる知識の量を想像して みる、という作業をしてください。次から次へ新しい知識が展開されたら、興味を持って聞いていたとしても、オーバーフローしてしまうでしょう。 ですから、聴衆の理解できるスピードに合わせて話しても話し終わる程度に話題を絞る必要があります。

ポイントは最大でも三つに納めてください。

話題を絞った上で、さらに、その話題にうまく誘導するためには、適切な導入部が欠かせません。映画でよく見るように、ロングショットで全体を俯瞰 し、ズームアップして自分のフレームワークに自然に導くような、そういうイントロダクションを工夫してください。特に、専門用語について、勉強した人に とっては当たり前でも、始めて聞く人には理解できません。説明なしにいきなり専門用語で話をされたら、それだけでコミュニケーションは成立しません。丁寧 に話を始めてください。

自分の研究内容を発表する場合、与えられたプレゼンテーションの時間を効果的に配分するとすれば、たとえば次のようなものになるでしょうか。

  1. 問題提示、研究動機、現状分析、現状批判などに10%、
  2. モデル、仮説、実験など、研究のフレームワーク、研究の特色説明に30%、
  3. 解析、分析、実験、調査結果説明、研究成果(研究の特色)について50%、
  4. 自己評価、反省、展望などに10%
スライドの枚数もこれにほぼ比例するように構成するのが良いでしょう。

先にも書いたように、話のポイントは最大でも三つ、これだけは伝えたいというものから順に優先順位を付け、トップ項目が初めて聞く相手に伝わるよう に丁寧な説明を工夫すること、これが先ずなすべきことです。そして、なお時間が余っているのであれば内容を増やしていくという足し算的発想でストーリーを 作る必要があります。

このような作業は、慣れていない人にとっては大仕事です。最初は誰でも初心者ですから、それなりに練習しなければうまくなれません。実際に発表する 時の口調で口述原稿(スクリプト)を書き、丸 覚えする、何度も声に出して練習する、聞き手を意識しながらスライドを使って発表練習をする、流れが悪ければ口述原稿を作り直す、覚える、練習する、とい うサイクルを納得行くまでまわしてください。

基本手順

コンテンツが大事なことは言うまでもありませんが、適切にスライドが作られていないと、言いたいことが伝わらないため、コンテンツまで粗末なものと 見られかねません。形式も大切ですので、基本的なマナーを身につける必要があります。

ここに書いた手順はOffice2010 で試したものです。バージョンの違い、あるいはオプションの設定の違いによっては、そのまま実行しても同じ結果が得られるとは限りません。その場合は、各 自工夫してください。

*** ストーリーを作る ***

パワーポイントを最初に立ち上げると、真ん中にスライドがおかれた画面が表示されるはずです。スライドをクリックして入力を始めてしまいそうですが、効率 よくスライドを作るためには、 スライドでなく、左の小さいスライドが表示されている場所を使って
アウトラインを入力することから始めます。

左側の小さいスライドの上にある二つのタブの内、スライドではない方(横平行線)のタブをクリックすると、タブが「アウトライン」という表示に変わ り、アイコン化されたスライドが表示されます。

その状態で表題を入力すると、左側の画面に文字が入力されるはずです。 表題を入力してから、「ENTER キーを押すと自動的に2枚目のスライドが挿入されます。 そこに2枚目のスライドのタイトルを入力して「ENTER」キーを押すと3枚目のスライドが挿入されて入力待ちになります。 このように、タイトル入力、「ENTER」キー入力の繰り返しで、とりあえず必要な枚数のスライドを作ってください。見出しだけ眺めればどういう話をした いのかが分かるように。

見出しは1行に収まるように、なるべく短い表現を工夫してください。

スライドの適正な枚数は発表時間にほぼ比例し、1分で1枚、ないしは2枚が限度

*** 内容を膨らませる ***

スライドの見出しだけでストーリーが出来上がったら、次に各スライドごとの中身を埋めて行きます。
ここでもまだスライドは使わずにアウトライン用のウィンドウで作業をします。

たとえば2枚目のスライドの中身を書きたい場合は2枚目のタイトルの最後にカーソルを移し、 「ENTER」キーを押して(新しいスライドが挿入されますが、気にせず)そのまま「TAB」キーを押します。そうすると、新しいスライドは消えて、2枚 目のスライドのタイトルの下に1階層下のアウトライ ン用入力スペースができますから、そこに書きたい内容を入力します。

スライドは台詞を書いた台本ではありません。文章ではなく

体言止めの箇条書きを主体
にしてください。
ここでも見ている人が一目で分かるように、表現はなるべくコンパクトに仕上げてください。
最初のスライドにはタイトルと名前、日付を書くこと

*** スライドの書式を変更する ***

スライド全体の環境(書式)を整えます。書式はスライドごとに設定可能ですが、スライドマスターを使って基本部分を統一させておくのが見やすいスラ イドを作成する第一歩です。

まず「表示/マスタ/スライドマスタ」メニューを選んでスライドマスタを表示させます。 左欄にたくさんのスライド見本が表示されますが、そのうちの最初のスライド(タイトルでないスライドのマスタースライド)をクリックしてください。そうす ると、先に入力した2枚目のスライドのような書式が表示されるでしょう。

=== ページ番号を表示 ===

デスカッショのために、スライドには必ずスライド番号を付けてください。

「挿入/テキスト/ヘッダーとフッター」メニューを選び、表示される「ヘッダーとフッター」ウィンドウの「スライド」タブで、「スライド番号」と 「タイトルスライドに表示しない」にチェックマークを入れ、「すべてに適用」ボタンをクリックしてください。

=== 背景デザインの選択 ===

パワーポイントには多種多様な「かっこ良い」背景デザインが用意されていて、簡単にデ ザイナー仕様のスライドを作ることが出来るようになっています。「書式/スライドのデザイン」で表示される中から、どれを選んでも構いません が、あまり奇抜なデザインで、内容が伴っていないと、かえって内容の貧弱さを強調する結果になりかねません。「デザインは印象的だったけど、何を言いた かったのかしら...」

濃い色をベースにして白抜き文字を多用するやり方が好まれますが、長時間見させられるほ うは苦痛ですから、避けてください(卒論発表会では禁止されています)。

=== フォントサイズ、その他の変更 ===

パワーポイントはアメリカで出来たプレゼンテーション用のツールです。アルファベット仕 様ですので、デフォルトのフォントサイズはかなり大きめです。大教室ならばこのま までも良いのですが、少人数のセミナー室でのプレゼンテーションではそこまで大きくする必 要はないでしょう。そこで、フォントの大きさを自分仕様に書き換えます。

スライドのフォント枠「マスタタイトルの書式設定」をセレクトして、フォントサイズを「36」あるいは「32」くらいに変えます。フォント書体が不 満な場合はここで変えておきます。 同じようにして「マスタテキストの書式設定」についても、フォントの大きさを小さめに設 定します。小さめとはいっても「16」より小さくしないほうが良いでしょう。

目立たせるために、フォントの書体や色を変えるのはかまいませんが、違う書体を混在させる場合、一枚のスライドに2種類が限度です。色もあまり多く 使うとかえって逆効果になります。

行の間隔、段落毎の間隔、など、フォント以外にもデザイン要素はたくさんありますので、気の済むまで、調整してください。

タイトル用のスライドの書式変更も、左欄のタイトルスライドをクリックして、同じような作業をします。

*** 図表を貼り込む ***

EXCEL で作った表、図を貼り込む場合、1枚のスライドには1枚、せいぜい2枚、ただし、 その場合でも、目的が違うグラフを1枚のスライドに並べてはいけません。

図のタイトルは図の下に、表のタイトルは表の上に、というのは「論文を書く場合」の約束。 スライドの場合は図表のタイトルはスライドタイトルに書いてください。一枚のスライドに複数のグラフを貼り付けるのでなければ、EXCELのタイトルオプ ションは使ってはいけません。また、タイトルに「図1」「図2」のような通し番号を付ける必要はありません。

軸の文字や凡例の文字が小さすぎて見えない、という場合が良くあります。フォントは最低でも16ポイント、ということを守ってください。

数表はなるべくグラフ化すること。どうしても数表にしたい場合、フォントは18ポイント以上にしなさい。

グラフの場合、軸の説明を忘れずに。

複数の系列を同時に表示する場合は、「凡例」を忘れずに付けること。逆に系列が一つしかない場合、「凡例」は不要(付けてはいけません)。

*** 数式を入力する ***

数式は専用の数式作成道具を使って入力すること。

「挿入/記号と特殊文字/数式」アイコン(πの文字)の下の下向き三角形をクリックすると、いくつかの数式見本が表示されます。入力したいものに最 も近いものを選んでクリックするとその数式がスライドに挿入されるでしょう。
それと同時に、「デザイン」というタブが表示され、数式関係のアイコンを集めたリボンが表示されます。ここで通常のワープロのように、修正すればよいので す。

記号やギリシャ文字を入力したい場合は「記号と特殊文字」の右側にある下向き三角矢印をクリックして表示されるウィンドウの上にある「基本数式」を 適当に選んで下さい。たとえば「ギリシャ文字」に変えて、所望の文字をクリックするとギリシャ文字が入力されます。

カーソルが点滅しているところで「挿入...」をクリックすると、カーソルの位置に数式が挿入され、文章の一部になります。指定した位置に挿入した い場合は、テキスト以外のところをクリックして「挿入...」を選ぶと、図形として数式が挿入されますので、それをドラッグしてください。

数式フォントのサイズを変更する場合は、式の内部をクリックして、「ホーム/フォント」タブの「拡大・縮小」アイコンをクリックします。

参考「数式エディタ」を利用する方法もあります。こちらのほうがきれい、という評価もあります。

「挿入/テキスト/オブジェクトの挿入」メニューで表示されるリストの中から「Microsoft 数式エディタ 3.0」を選びます。そうすると、「数式エディタ」ウィンドウが表示され、数式入力用の各種のテンプレートが表示されますので、それらを適宜利用して数式 を入力してください。そのウィンドウを閉じるとスライドに数式が図形として挿入されます。

*** 参考文献 ***

スライドの最後には、参考にした論文や、ホームページのURLを書いておいてください。文献の書き方は、その論文の最後に書いてある「参考文献」の書き方 を参考にしてください。標準的には「著者名、論文の題、掲載誌、巻号、ページ、発行年」の順にカンマ区切りで並べます。

*** 口述原稿(スクリプト)を入力する ***

スライドが完成したら、今度は各スライドごとに話す内容を口述原稿の形で書いておきま す。これはスライドの下に表示されているノート用のウィンドウ(「クリックしてノートを入力」と表示されているところ)を使います。「表示/ノート」 メニューを選べばノート用ウィンドウがもっと大きく表示されます。 特に、図、表の説明には細々したところで時間を費やすものです。一度は実際に話すとおり に書いてみて、声に出してしゃべり、どれくらい時間がかかるのかを計測してみてください。

*** アニメーションの使い方 ***

パワーポイントを使うと、テレビでよく見られる「めくり」のような仕掛けが簡単に出来ますので、いろ いろいじりたくなるものです。これも発表の中身が伴って、プレゼンテーションの効果を高め るために必須である場合に限り、工夫して使ってください。 箇条書きの1つ1つを順番に表示させたい場合、各項目ごとに「アピール」を設定します。 しかし、アニメーションを設定した場合、スライドを早送り、巻き戻しをする場合にまだるっ こしくなることを覚悟しておいてください。

発表の仕方

スライドはカンニングペーパーではありません。内容を朗読するような発表をしてはいけません。

ノートに書いた口述原稿を暗記するくらい覚えてください。朗読調にならずに話せるようにしてください。

聞いてもらいたいのは聴衆ですから、聴衆の方を向いて話をすべきです。スクリーンと対話してでもいるようにスクリーンと向き合い、自分の世界に浸り きっているような「発表」がなんと多いことか。

発表の際はスライドのコピーを手元において、全体を意識しながらプレゼンテーションをしてください。また、何か質問が出た場合、コピーがあれば、ど の部分のことを指摘されているのかをすぐに把握することが出来ます。

指し棒やレーザポインタを使うことで、聴衆の注意を集中させることが可能です。ただし、逆に、は現在話している内容が書かれている場所を的確に指示するための道具です。聞いている人が迷わないように、意味無く動かさないでください。棒 全体を使って1行を指し示すのも有効な方法でしょう。グラフの場合はなぞって動かすやり方もあるかもしれません。くれぐれも手持ちぶさたの時のおもちゃに はしないでください。

レーザーポインターという飛び道具もありますが、見にくいので、指し棒が使える場合はなるべくそちらを使うようにしてください。レーザーポインター を使う場合は、「ポイント」つまり、画面上の固定点 を指し示す目的で使い、むやみに動かさないでください。

スライドの操作

マウスを使ってメニューを選択しても良いのですが、ワンタッチで操作できるようにしておくと、スマートです。次のような操作法を覚えてください。

● スライドを始めるのは「F5」キー、直ちに終了する場合は「Esc」キーを押す。

● 次のスライドに進めるには「Enter」キーを押すか、右向き矢印キーを押すか下向き矢印キーを押す。直前のスライドに戻るには左向き矢印キー を押すか、上向き矢印を押す。

● 特定のページに飛ぶためには、ページ番号を入力して「Enter」キーを押す(どのページかすぐ指定できるためにも、手元にスライドのコピーを 用意しておくとよい)。

● 発表が終わった後は、スライド一覧の画面を表示させると良い。左下の「スライド一覧表示」ボタンをクリックすればよい。

● パワーポイントの編集画面で、現在表示されているスライドからスライドショーを始めたい場合は、shiftキーを押しながら「F5」キーを押す。


 キー  動 作
F5 キー スライドショーの開始
ESC キー スライドショーの中断
→ キー、または Enter キー 次のスライドへ進める
← キー 前のスライドに戻る
数字+Enter キー 指定したページにジャンプ
Shift + F5 キー 表示されているスライドからスライドショーを始める

配付資料の作成

スライドとは別にきちんと資料を配る場合は別として、スライドを使ったプレゼンの場合はスライドのコピーを配るのが親切。

方法1:「印刷」メニューを選んで表示される画面の左下に「印刷対象:スライド」という文字があるので、その「スライド」の文字を「配付資料」に替える。「1ページあたりのスライド数」は「6」が普通

方法2:「方法1」で印刷すると、1枚のスライドが小さいので、上のような注意を守ったとしても数式の文字はよみにくい。そこで、プ リンタのオプションを利用して、スライドを1ページに4枚印刷するようにした方が良い。プリンタを選ぶウィンドウの脇に「プロパティ」ボタンがあるのでそ れをクリックし、用紙を「横」、1ページあたりにプリントするページ数を「4」とする