レポートの書き方

1.はじめに

講義・演習・実験・実習などで多くの場合,時間内に出題された課題を後日レポートとして提出することが義務づけられます.レポート作成の際これくらいは注意してほしいということをまとめました.これから出すレポートのために,是非通読しておいて下さい.

実際のレポートを書く場合の技術的な注意点については「レポートの書き方(実践編)」を参考にしてください。

2.レポートの目的

レポートは,教員と学生のコミュニケーションの手段です.コミュニケーションを成立させるためには,何よりもレポートを提出しなければいけません.とにかく指定された期限までに不十分であっても何かを提出し,参加の意思表示をしてください.教員はレポートを読むことによって,学生が時間内の講義や説明をどれくらい理解しているのかを知ろうとします.レポートを書いた個人個人の出来具合を知りたいことは言うまでもありませんが,それと同時に全体としてどれくらいの出来なのかを知ることが必要なのです.

また,教室では人数が多いので,したい質問も出来ないということが多いでしょう.そのような場合は質問,疑問,講義や演習・実験の進め方に対する注文・感想などを書くようにしてください.教員を刺激するようなレポートが多くなれば,講義・演習・実験も活性化して行くことは間違いありません.

レポートには自分が理解したこと,考えたことを読み手に正確に伝わるように書いて下さい.人にやってもらったこと,どこかに書いてあったことを分からないままに書き写して提出しても意味がないどころか,教員へ誤情報を与えることになって有害です.

最近,先輩あるいは友達のレポートをちょっと手直しして(あるいはそのまま)提出する「レポート」や、インターネットの文章をそのままコピーペーストするようなものも増えてきています.言語道断です.

コピーレポートは試験のカンニングと同じです.程度に応じて罰則があり,最悪の場合は単位取り消しとなります(過去に同様の事例が起きています).

3.レポートの書き方

目的を達成するために,実際のレポート作成に当たってどうすればよいのか,どうしてはいけないのか,というようなことの一部を,簡潔に項目ごとに記述します.きちんと説明しようとするとそれだけで一冊の本になるくらいの分量が必要になりますが,実際,このことをテーマにした参考書が世にあふれています.この小論の最後にいくつかをリストアップしておきましたので,時間のあるときに,一冊以上に目を通しておいてください.

(1) 文章の書き方

書き出す前に,全体の構成を考えなさい.簡単な問題演習は別にして,最初にレポートの目的と方針を書きなさい.文章は曖昧さを避けてわかりやすく,平易な日本語で書くように心がけなさい.数行ごとに段落の区切りを入れる,一つ一つの文章を短くする,などはどんな場合でも有効な方法です.

本を読んだり,インターネットを調べたことをそのまま写さずに,自分で理解したことを自分の言葉で書きなさい.「である」調で統一すること.

(1) 用紙

レポートはA4版の用紙で作成します.コンピュータを使う場合は白いコピー用紙,手書きの場合は罫線の入ったレポート用紙を使いなさい.使用済みの裏紙の再利用,ルーズリーフ用紙,ノートを切り取ったもの,はレポートに使ってはいけません.

(2) 用紙

1枚目に科目名(課題名),担当教員名,提出の日付,所属,氏名,学籍番号を忘れずに書いてください.2枚以上になる場合はページ番号を書き,ページ番号の順にまとめ,左上をホチキス止めすること.ページが前後したり、天地がひっくり返ったまま綴じてしまうようなことがないように、提出前に必ず見直して下さい.

(3) 書式

1枚目に科目名(課題名),担当教員名,提出の日付,所属,氏名,学生番号を忘れずに書いてください.2枚以上になる場合はページ番号を書き,ページ番号の順にまとめ,左上をホチキス止めすること.指定の表紙がある場合はそれに従うこと.

コンピュータを使う場合,プリンタの都合で字がかすれて読めない,という言い訳は通用しません.手書きの場合は丁寧に書いてください.修正する場合は必ず修正液,あるいは消しゴムを使うこと.

(4) 漢字,送りがな

コンピュータを使う場合には,不適切な仮名漢字変換をそのままにしないように,十分注意してください.自分が普段使ったこともないような漢字に変換されたら,ひらがなにしておいた方が無難です.手書きの場合も含めて,漢字・用字が不確かな場合は国語辞典・用字用語辞典を使って確かめてください.

(5) 数式

手書きでも構いませんが,卒論ではMSワード+MS数式が必須です.暇なときに慣れておいてください.詳しい手順はここを参照してください.
文章に埋め込む場合,数式・記号は全角文字を使ってはいけません.下付文字がある場合は「下付き」(文字飾り)にすること.

(6) 図表

EXCELは重宝ですが,賢くありません.EXCEL任せにしないで,印刷されたものについては責任を持ってください.EXCELについては詳しいことがこのページにありますので読んでおいてください。

ダウンロードした図表,コピーした図表を転載する場合には,必ず引用元が何であるのかを分かるように明記してください.盗用はいけません.

(7) 参考文献

レポートを書くに当たって参考にしたものは,その書誌データ(本の場合:著者名,題名,出版社,発行年.論文の場合:著者名,論文名,掲載雑誌名,巻号,ページ番号,発行年)を書かなければいけません(この下にある「参考文献」の書き方を参考にしてください).

4.まとめ

いろいろな技術的な注意事項はありますが,これらの多くは,次のようなことを考えたときに出てくる必然的なものです.

受け取った人に自分の意図が正しく伝わるか

これを常に念頭において,レポートを作成するように心がけてください.成功を祈ります.

参考資料

[1] 阿部紘久「文章力の基本」日本実業出版社,2009.
[2] 奥田統己ほか「読みやすく考えて調べて書く」学術図書出版社,2003.
[3] 小野田博一「論理的に書く方法」日本実業出版社,1997.
[4] 小山 透「科学技術系のライティング技法」慶應義塾大学出版会,2011.
[5] 酒井聡樹「これからレポート・論文を書く若者のために」共立出版,2007.
[6] 杉原厚吉「どう書くか,理科系のための論文作法」共立出版,2001.
[7] 戸田山和久「論文の教室」日本放送出版協会,2002.
[8] 早稲田大学出版部「卒論・ゼミ論の書き方」早稲田大学出版部,2000.